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July 19 どるぁ最近の近況を報告するフツーのブログに転身・・・
劇場が進まないからとかは言わないから
さて、ここ最近アルコール摂取量が異様に増えている気がします
昨日:サワー7杯と発泡酒3,5カン10本
一昨日:ウイスキー ビン丸々
死にたいのかorz
ちなみに今月のアルコール代:13647円(税込み)
・・・
これじゃあ人に向かって酔っ払いとかアル中とか
言えないな March 05 第3話~序章~静寂の中、寮の窓の奥へ、注ぎ込まれる春の日の光は、実に清々しい。 毎日これが楽しみで、朝が待ち遠しいくらいだった。 だった。 はずなのに。 今日はやけに、 快調の極みを通り越して、天へと昇りそうな、 すさまじい程の 騒音が というよりまず 「うるっさいですっ!!」 つい窓を開け放ち、久々の怒声をかましてしまった。 はずなのに、 視線の先、 ライダースーツを着込み、バイクから降りたその男性は 「ふむ、お嬢さん 朝から元気とはいい事だなぁ」 なんて、気にも止めず、それどころかわけのわからない笑顔でいつもと違う朝を運んできた。 結局少女は寮を出ようとしたところ、その青年に捕まった。 捕まってしまった。 普通に考えて、 40分も寮の前で待ち伏せるなんて 不審者の他ならない というか、通報すればよかったなんて思った頃には、後の祭りだった。 「あー、お嬢さん?歩くのダルかったら、後ろ。大歓迎ですよ?」 また。何かが抜け落ちている言葉に少女は戸惑いながらも必死に 「あ――――ぃぇ、結構、です。」 これだけ、精一杯伝えた。 「なんだ、ヤケに片言ですねぇお嬢さん。どないしたとでぃすかー?」 青年はその必死の一言を軽くあっさりと、痛いところを突いてきた。 こっちは、言葉を返すのも、大変だというのに―――― 二人の会話はそれきり止まってしまった。 大通りの時計台の時刻を見れば、9と6の数字のあたりを針は差し示していた。 ――――学校は完全に遅刻だ。おそらく入れてもらえないだろう。 はぁ、と小さくため息をついた横でバイクを押す青年が、 「そういえば、名前。何ていうんだ?」 と、唐突に尋ねてきた。 その、あまりの突然さに少し慣れてきてしまった自分を悔やみつつも、 「ぁ、汐音です。サンズイに夕暮れの夕の字を書いて、汐音―――」 その小声で呟いた名前を聞き取った青年は宙を指でなぞりながら、 「ふぅん、汐音、ねぇ――――」 と、一人で納得していた。 「この時間から開いている所は、―――喫茶だな。」 また突然、一人で話を進める青年。 こっちは質問をする隙もないんだなぁ、と汐音は心中呆れかけていた。 「よし、いくか」 呆けていた次の瞬間に青年はバイクを押しながら先を一人で歩き出していた。 逃げ出そうと思えば出来た事。 しかし何故か 体は自然と 見知らぬ青年に向かって、 走りだしていた 廃屋の魔人「アナタ、どこまで知っているのよ―――」 テーブルに肘をつき、驚きを隠せない表情で少年を見つめるみしお。 その目前で、少年は淡々と言葉をつむいでいた。 「ある程度の事は、自分の家で手に入れた知識。あとは、勘かな?」 少年はそういうと、言葉を紡ぐ前と同じように、みしおの持ち込んだ書物をパラパラとめくっていた。 「で、それは解読できたの?これからどうするつもりなのよ」 状況がいまいち掴めない、その苛立ちからかみしおは質問を繰り返し放った。 少年はその質問を順序だてて言葉を選びながら話始めた。 「んー、こんなの殆ど読めない。ページ数の割に消えかかってる部分が意外と多いし・・。理解できるところでは、僕達は、3日目の昼に居るんだ。そのくらいかな?後の部分は今の君に、特に役立たないね。」 「その、3日目って、何よ」 引っかかる部位を、話が切れたと同時にみしおは口にしていた。 「うん。よくはわからないけど、この『異変』が始まってから、ね。先祖代代残していた手記によるとこの『異変』は初めてじゃないみたいで、何回かあったらしいよ?その度に、ほんの数人だけその街から消えていて、その事件に関わった人間以外はその人のことを忘れているみたい」 少年はみしおの視線に顔を合わせながら説明を続ける。 「この『異変』は7日目と13日目に、大事が起きるんだって。これ以上は覚えてないからどうにも言えないけどね」 その奇々怪々な話を耳にして、みしおは呆れるしかなかった。 「何よそれ、おかしいことだらけじゃない」 少年はその言葉に 「そう、だね。この間あった事も、全部、戦への引き金―――」 肯定の言葉を口にし、独り言ごちた。 「まさか、私がこの街に異変を感じたのも」 ソファのあたりをぐるぐると歩き始めた少年は、特に気にした風もなくその呟きに答えた。 「かもね。この街はいろいろと変なのがいそうだし、ね」 そして突然、ピタリと足を止めると少年は続ける。 「詳しい事は後で話すから、とりあえず君が異変を感じた。というなら、奥地に行ってみよう」 勇む者「午前のお仕事は終了、っと。ちょっとお昼食べてくるからお店の方、よろしくね、フィン」 「はい~、安心していってらっしゃいませ~」 昼時の混雑も終わりかけた午後2時。喫茶店のマスター、勇はいつもどおりの昼食を購入するため鞄を取りに自室へと向かっていた。 (宗太、ホントに平気かな―――?) 裏口を出た時、ふと、別館に休ませている少年の事を思い出し、和室のある側へと向き直った瞬間 昨夜受け取った書物が和室の棟の入り口に置かれていた。 「なん、で――――」 これは確かにあの後、自室で眺め、放置しておいたモノ それが、何故―――― 「第3夜の幕開けだ」 「!」 思考が止まっていた、その、ほんの一瞬の間に、置かれていた書物を抱える少女がそこに居た。 「君は、昨日の―――」 「有無。今回の用件は少々危険な話でね、時間もないのだよ」 少女は会い相変わらずその体躯に似合わぬ口調で勇へと事の深刻さを告げていた。 「とうとう、異変が始まるらしい。行って、もらえるかな?」 対照的に勇は困惑した面持ちで謎めいた依頼に弱々しく疑問を投げかけた。 「もし、断ったら―――?」 ふむ、と頷くと少女はその否定的な疑問にただ冷たく答えた。 「それも良かろう。だが、君だけでない、君の大切な人間が狙われることになることだろう」 その少女の姿こそ可憐ではあるが、口調のそれは、紛れもなく、計り知れない何かを越えてきたものそのものであった。 「そん、な―――」 そんなの、おかしい。返す言葉を見つけられない勇は、俯いてただ黙り込み、そしてややあってから何かを決心したように強く頷き、 「僕がやれば、いいんだね」 承諾の意の言葉に少女はクスリと笑みを浮かべ、 「ふむ、頼むぞ。午前零時に、またここで会おう」 March 03 空き巣/朝焼けの生焼け「―――――アナタ、誰?」 その言葉を耳にした時、言いようにない、憤りも通り越し、呆れにも似た気分だった。 深夜、帰宅してみれば玄関の戸は無惨なまでに破壊され、 自らの部屋に戻れば、見知らぬ少女がこれ以上に無いくらい、気持ち良さそうに眠りについていて、 寝床を奪われた少年は広いロビーのソファの上で浅い眠りにつく他なかった。 日が昇って間もない、まだ空気も冷めたままの頃、凄まじいその衝撃で軽い、仮眠から覚めた。 数十秒して、意識が戻ると、ソファが背もたれ側に横転していた。 どうやらその『衝撃』とは、頭を打ったことらしい。 しかしいくら寝相が悪かろうとこうなる事は有り得ない。 何せ相手は己の体重の倍以上の重量を誇る高級ソファである。 キログラムに換算すれば3桁はあるだろうこの相手を。 意識が完全に覚醒し、ゆっくりと上半身を起こすと、そこには一人の少女が、豪くご立腹の様子で見下していた。 「―――――アナタ、誰?」 唐突に、しかも投げやりに吐かれたその言葉に、この家の主の少年はややあってから冷静に返答をした。 「人の家に上がり込む時はせめて『お邪魔します』と『名前』、それに『ここに居る理由』くらいは先に言ってくれるかなぁ?」 少年は、己の知れぬところで気が立っている少女に対してただ当たり前の言葉だけを残した。 しかし少女も、この時は怒りを納め、真面目に答えていた。 「私は・・みしお。街を歩いていたら良い所に家があって、誰も居なさそうだったから、ちょっと借りただけよ。」 本人は本気のつもりで言っているらしいが、聞いている側としては文句も満載である。少年は再び呆れ顔で言葉を紡いだ。 「ここは立地条件からすれば街外れだし、こんな山奥は良い所でもないし、何よりそれは、空き巣じゃないか。何のために宿屋があるのさ」 その説教を聞き、みしおはふぅん、と勝手に納得すると、脇に抱えた鞄から大判サイズの書物を取り出すと、少年に告げた。 「アナタには関係ない事かもしれないけど、私はこの辺りに用があるのよ。」 少年はその言葉を半ば聞き流し、ただ、その書物の表紙に描かれたモノに惹かれていた。 その豪華絢爛な宝石の図の配置はまさしく、 ――――――あの地下室で見たものと、同じ 、 目覚めの後に二度目に目を覚ましたのは、日が最も高く昇った昼過ぎだった。 「隊長、平気ですか――――?」 「あぁ、何とか、な」 レンの気遣うその言葉にも、宗太はただ生返事でしか答えられなかった。 気が付いた時、俺はマスターの経営する喫茶店の裏、その2階にある部屋に1人で寝かされていた。 体には、特にそれといった外傷は見当たらず、ただこの身が異様なほどの重さを誇っていただけだった。 「宗太、気がついたかい?」 その時、静かに開けられたドアの向こうからマスターはやってきた。 「マスター・・、俺なら、もう、大丈夫です」 上半身だけを起こし、宗太はその主、七星勇に弱々しくそう告げた。 力ない宗太の顔を覗き込むようにして勇は 「もう、無理しちゃ駄目じゃないか・・。助けてくれたレンさん二御礼を言っておくんだよ?」 笑顔を浮かべながら声を掛けた。 元気、出すんだよ?そう言葉を残すと、勇は仕事があるから、と朝食を乗せたトレイを置いて、下へと降りていった。 「そういえば、アイツらは・・・」 「隊長、今は体を休める事が先決です。」 何度宗太が口を開いても、この言葉に遮られてしまう。 この日一日、その言葉を両の手では数え切れぬほど耳にした。 記憶にある分には、それは大敗というにはあまりにも曖昧すぎた結果だった。 ――――――俺は、勝ったのか・・?それとも・・・ 相打ち ただそれだけ。だが大きな不安が、引き分けたという事実の上に、重くのしかかり、宗太を圧迫していた。 自分が何故、生きているのかもわからない。 問いだそうとしても、はぐらかされるばかりで、真相はまるで見えてこない。 それならば 今はただ、眠るのが、一番――― March 02 強盗/現行犯逮捕夜も終わりを告げかけ、日が昇るやや前の午前3時半、庵はその暗く、大きくそびえ立つ自身の家に帰宅し、玄関口に立った時、ふと違和感が生じた。 思考すること数秒、その答えはすぐに脳内で答えを固めた。 ―――――――かぎ穴が、ない? 暗い闇の中、夜目を利かせ、周囲を見ていると、玄関口の枠にはまったガラスがかぎ穴とともに、欠片一つ残さず戸から消えていた。 それはもう、見事なまでの『破壊』のしようだった。 ――――――――盗人? 頭をよぎったのは、これであった。 しかし、周囲には民家もなく、よほど大きな爆発音でなければ他所の住人が起きる事もないこの山中の屋敷に、だ。 何処の強盗犯が入り込んだのか。 幽霊屋敷よりも遥かに恐れられ、避けられている、金目の物一つない屋敷に潜り込み、出て行った奴の気が知れない。 余程の無謀な挑戦者か、気が触れ、狂いに狂いきった狂人か。 どちらにしても哀れであった。 この家の者が付き添わなければこの山林はまず間違いなく脱出できない。 思考を張り巡らせた結果、庵は小さくため息をつき 「―――倒れてなきゃ、いいけどな」 かぎ穴も無くなり、開けられるようになった玄関の戸をゆっくりと左にスライドさせながら、 「確かに少し壊されるくらいならこのくらいの方が気分がいいな」 と、静寂を破らない程度に呟いて、玄関内へ足を運ばせていた。 しかしそこは、ガラスの破片ひとつ散らばっていない、変わらないいつもの玄関であった。 すっかり慣れた夜目で辺りを見回すと、下駄箱横のスペースに、しまってあったはずの竹箒と塵取りが立て掛けてあり、その下にはガラスや鉄屑が固めてあった。 「全く、変なところで気が利く泥棒だな―――」 少しだけ苦笑いを浮かべ、自室へと続く長い回廊を歩いていた。 ギシリ ギシリ 「鴬張り」の古く、しかし頑丈な床が踏む足に合わせ規則的に音を立てる。 暫く歩き、開け放ったままの自室へ入ったさきの押入れを開いた時、二度目の違和感を感じた。 ――――布団、毛布が、無い? 振り返り、窓際を見れば、そこには堂々と、部屋の半分以上を占領する形、もはや神々しいまでのずうずうしさで 一人の少女が安らかな寝顔を浮かべていた 喫茶と月夜と「魔―――――――法?」 あぁ、思考がとまりそうな、わけのわからない紙切れに踊らされて。 僕は―――――――― 「は、はは。まるで、まるでわからないよ。」 そう、それこそ、今の彼、七星勇に 「最も、関係しているモノなのだよ。七星 勇」 暗く、下の階へと続く、その先から、重く、そして強く、その声は勇へ伝わり、衝撃を与えた。 突然の回答に驚き、慌てて階段を駆け下りた先に待つその主を目にして、勇は思わず声をあげていた。 「君は――――あの時の―――」 その言葉に有無。と頷いた少女は、やや間を開けて、ゆっくりと口を開いた。 「いかにも。私こそあの時の である。」 何故、ここにいるのか、どうやってここに来たのか、 何故、名を知っているのか、そして――― 何故、僕なのか―――――― 疑問は尽きることなく、脳内を駆け巡り、意識を奪い尽くし、気が付けば勇は、その全てを少女へとぶつけてしまっていた。 しかしそれを待っていたかのように少女は真剣な面持ちで、 「全ては、ここに在る」 そう、やはり強く告げられた言葉の後に、少女の小さな右脇に抱えられた一冊の辞典らしき書物を手渡した。 「これは―――?」 両の手で受け取った、何も語らぬ書物をまじまじと見つめ、勇は少女に再び問うていた。 既に背を向けていた少女は首だけ振り返り、 「私はそれを届けに来ただけだよ。知りたい事は全てそこに在る事だろう。」 少女は切った言葉の先から続ける ―――――もう一人のお主の事も、 放たれた言葉に、2度目の衝撃を受けた勇は、俯き、返す言葉を必死に探していた。 ややあってから顔を上げた時、視線の先にほんの一瞬前まで居たはずの少女は、物音ひとつ立てずに消えていた。 「もう一人の、僕――――?」 残された勇は、ただ一人。置き去りにされたその言葉に頭を悩ませていた。 January 08 聖戦の系譜暗闇に響く、階段を降りて行く音。 降り切った先、狭い通路の奥、開かれた扉の向こうから、光が溢れ出していた。 誰かが其処に居る。しかし彼女は危険が待つかもしれないその光の下へと歩き出していた。 カツン、カツン、と足を踏み出す度に響き、周囲に広がる足音。 音を潜ませようにも巧く行かず、その足を止めようにも、自然と進み続ける。 それは、誘われているかの如く。 ―――――誰に? ―――――何に? 疑問が絶えず、答えも出ぬままに。気が付けば周囲は黄金と宝石の豪華な飾りで彩られた大広間へと足を踏み入れていた。 「ここは――――?」 その鮮やかさ、まさに豪華絢爛なその飾りに魅入られている少女の先に立つ男が静かに声をあげた。 「ようこそ、騎士の集う間に――。」 突然の声に瞬間、身を震わせながらも、正面を見据え、気圧されぬように少女は睨みつける。 その”威嚇”すらも男には届くことはない。それに勝る『力』の一端を見せながら、男は名乗る。 「我が名はあっぷるてぃ~。戦ある場での通り名を緋閃と申します。さて、貴方はどちら様で?」 ”威嚇”すら薄れたものの、依然として警戒を怠らない少女は、静かに名乗り返す。 「私。私は、一ノ瀬梓―――――」 「ふむ、梓さんですか。それでは、」 「あっぷる」と名乗る白い男は、部屋の四方に置かれた4つの『棺』の内の一つの前に立ち、梓を手招いた。 「既に戦いは始まっています。小さかれど、火は確実に広がりつつあります。」 梓がゆっくりと歩き出し、あっぷるは一人語り始める。 「全て、己の身を守るのは、己の力だけなのです。」 あっぷるは近くにまで来た梓を見ることもなく、続ける。 「己の力とは何か?その答えはきっとこの『戦争』の終わりにあることでしょう。それまでの間、貴方を守るモノの一つ」 梓が背後に立ったとき、あっぷるは静かに棺を開け、梓に向き直り、語る。 「梓さん。聖剣士の貴方に見合う『力』はこちらです。」 そう言うと、棺の奥から静かに、ゆっくりと、丁重に取り出され、梓の目の前に差し出されたそれは、 ――――――白金の鞘にその身を包んだ宝剣だった。 まだ、現状を掴みきれていない梓に、あっぷるは気にもせず言葉を紡ぐ。 「本来、剣には「人」と同様に『名前』があります。しかし、その『聖剣』を手にした者は未だおりません。つまり、まだ名がないのです。故に」 ――――――貴方がネームメイカーとなるのです。 「私が、名前を――――」 その両腕にかけて赤子のように優しく抱かれた未だ名の無い『剣』をみつめながら、梓は思考を巡らせていた。 それを見かねてか、あっぷるは声を掛けた。 「焦る事は無いのです。ただ、その『子』に相応しい『名』を与えてあげられるのは、ネームメイカーの貴方だけなのです。」 俯くあっぷるは、暫くあって、独り言を呟き始めた。 「しかし、本当であれば私と相対の騎士の少年と共に貴方を迎え、『名』を与えて頂きたかったのですが―――」 その悲しそうな表情を浮かべるあっぷるに梓は先程の敵意を緩め、ただ優しく疑問を口にしていた。 「その『少年』、って――――」 その言葉に顔を上げ、あっぷるは静かに言葉を返す。 「はい、貴方や私と同じように数々の名を持つ黒騎士、誰の一でも無き孤独、」 ――――――最高の矛盾、ネームレス 「そう、仮の名を多く冠する少年です。闇を徘徊していればいずれその少年や私とも、また出会うでしょう。」 その時、梓には、薄れもしない意識の中に、はっきりと誰かの言葉が浮かんできた。 私達は時を越え巡り合う存在、聖戦の系譜――――― ふたりとフタリ「何なんだ?今の光は―――」 住宅街の一角から、二人の少年はその漆黒の闇色をした寒空に突如浮かび上がった光を見上げていた。 「それ」に目を奪われている先程の声の主とは別の、もう一人の長身の少年が静かにその沈黙を破った。 「隊長。これはきっと何かの力が衝突して出来た、超次元の現象ではないかと。」 長身の少年の声は、隊長と呼ばれた少年のモノとは対照的に、物静かで淡々としていた。 「そうか―――。だが、俺達は今、何をするべきなんだ?レンさん」 「今は向かってくる相手を討つべきかと。」 レン、と呼ばれた長身の少年は自身よりもやや幼い一つの答えを与えた。 レンが、その言葉を言い終わるや否や、少年は背中に掛けた2本の銃をその両腕へと移した。 そしてまた、依然として浮かび続ける光を見上げ、レンと二人、ただ呆然としていた。 暫く音の無い世界が二人の周囲を包んでいたその時、遠くに、微かにレンのその耳に聞こえたレンは、 「足音が聞こえます。この時間帯、少なくとも不審者以上の相手でしょう。どう致します?」 と、静かに少年へ問うた。 対する少年はその短い髪を軽く掻き毟りながら、ややあって、結論を出した。 「とにかく、行って見るしかないだろう」 言うと、二人は徐々に近づく足音のする方角へと駆け出していた。 市街地をかける二人は、遭遇する直前まで策を練っていた。 「相手が仮に一人だったら?」 その答えは間をあけずに返ってきた。 「その場合はまず私が背後から狙います。」 「じゃあ、二人以上の場合は?」 その答えも既に考え付いていたのか、やはり間をあけずにレンは答える。 「その場合は戦力に応じた分散を」 「よし、わかった!」 なんとも大雑把な会議ではあるが、二人にはこれで十分だった。 その言葉の先、数十メートル向かいの街灯の下に立つ影は、 同じ年頃の少年二人だった。 「お前達は?」 こちらが声を上げる前に、長い刀を手にした少年の一人が問いの言葉を紡いだ。 その声にレンはやはりただ淡々と、しかし隣の少年と言葉を交わす時よりも酷く冷たく、 「先に名乗るべきは先方かと。こんな夜更けに、何事で?」 返された言葉は少年の期待したものではなく、しかしそれでも先ほどの少年は素直に返答をする。 「俺は桜咲。桜咲瞬飛。こちらのはスレイヴという。」 名乗る瞬飛は二人を交互に見比べ、さらに続ける。 「アンタ達こそ何故此処に?まさかあの光と・・・?」 瞬飛のその目つきこそ力の限り、相手を威嚇する獣にも似た、まさにそれであった 。しかし、それに臆することなく、レンの隣でただ黙り続けていた少年は声をあげた。 「お前達の知ることではない。それに――――――――」 ―――――――――話したところで無駄だろう? 冬の寒空の下、静寂を破るその声の主に、瞬飛は手にしていた刀を抜き、 「お前、何という名だ!」 声をあげつつ、一直線に走り出していた。 対峙する少年は2つの銃を構え、迫りくる瞬飛を迷う事無く見据え、名乗りをあげた。 「俺は―――俺の名は、真龍宗太だ・・・!」 December 28 あの鐘を鳴らすのは――――突然の”待ち人”の登場に、驚くことはなかった。 これがコイツの「何時も通りだからな。」と織は教えるようにして呟いた。 「ぁー、あのジジイ共、権力と力だけが目当てかよ、やってらんねぇ」 白いライダースーツを着た”待ち人”は周囲の事など気にする事無く愚痴を零し、事を伝え始めた。 「ってわけで、秘密兵器を持ち出してきたんだが、今頃気付いたんじゃねぇか?んで、逃げてぇんだわ」 その言葉を耳にし、織はフッ、と笑うと 「どうせそんなことだろうと思った。行くならさっさと行こう、ジル者。」 ジル者、と呼ばれた青年は黙り続けていた織のお供にようやく気が付いたのか、 「ぉぅ?式者、コイツは?」 庵の顔をジロジロと見つめ、織に問い掛けた。 「こいつは庵。俺の連れだよ。」 車のエンジンを掛け、暖めていた織は少しだけ声を張り上げて答えると 「今は急ぐんだろ?自己紹介は後にしよう。」 と付け加えた。 庵が遅れて車に乗り込むと先程来た山道を下り始めた。 「織者、彼は、一体―――?」 庵が質問をすると、さも当然のようにされると思われる問に答えを用意していた織は、 「アイツはアスタロス。陰陽士さ。まぁ、邪道の上に破門の身だが、な。」 加速をしつつ、平然と続ける。 「大体、袈裟でバイクに跨る奴だ。絶対に何かが違う。」 苦笑いと共に、今度は自身の感想を漏らした。 山道を降りきった頃には、織と庵、アスタロス以外、誰も、何もなかった。 ただ目に映るのは街灯と月明かりのみ。 ふと、運転席側の窓を小突く音。 織が窓を開けると、アスタロスが「つけられてる」と告げた。 ミラーを見れば、後方に6つの青光りする、”実体無き存在”。確認し終えるとアスタロスは払い落とすから止めるぜ、と再び告げる。 伝え終わると即座にバイクはドリフトをし、急停止すると、まだ滑っている最中、アスタロスは飛び降りた。 「さ、やるとするか」 独り言を放つと両腕を対象の、向かいくる追手へと突き出し、理解不能な呪文を唱え始めた。 織と庵は、危険を察知したのか、そこから出ることはせず、ただ眺めていた。 アスタロスは呪術を唱え終わると、追手の群れの中心に、巨大な爆発を引き起こした。それはまるで地上で引火し、暴発した青と白の2色の花火の様。アスタロスは己の愛車へと向かうと、何もいわず、やはり爽快に笑った。 その刹那、頭の中に不可解な、しかし刻み込まれている『声』が響いた。 ―――――――準備は整った。 魔力の衝突も十分。 今こそ戦いの時。 始まりを告げる鐘も鳴った。 生き残れ。 知略と力を尽くし。 命の限り。 何一つ惜しまず行使せよ。 さぁ、始まりだ。 信ずるは己の心と手に持つ力のみ。 待ち人未だ来ずその日の夜も例年通りの寒さに街は支配されていた。 時刻は午前零時。 庵と織は、山道の終着点、雑木林の奥にそびえる寺の前で、今か今かとある者を待ち続けていた。 遡る事1時間。自宅の電話のベルが、その広く暗い屋敷内に響き渡った。 普通であれば、このような時間に鳴り響くベルは騒音の他ならないが、深夜から明け方にかけてを平然と過ごす庵にとっては何時に鳴り続けようと不快の一つにもならなかった。 4回目のコール。 ようやく部屋から出てきた庵が玄関に程近い電話の前にノソノソと近づき、ゆっくりと受話器を耳元にあて、 「こんな夜更けに―――織者?」 受話器の向こう、織は「俺だ」と庵に告げると前置きも無しに話を持ち出してきた。 『今から外に出れないか?ある程度時間がかかりそうなんだが、予測がつかない』 織は挨拶も交わさず、率直に用件を述べる。 対する庵は大して驚いた風も無く、 「構わないけど、どんな用?」 ただ『いつも通り』の返答をする。 その言葉の後、ややあって織は口を開いた。 『―――――”待ち人”だ』 そうして夜の繁華街の一角で待ち合わせをし、織が乗ってきた4輪駆動車に乗り込み、”待ち人”のために山道へと入っていった。 「こんな道、ただごとじゃないね」 助手席に座る庵はフロントガラスの先に映る仄かな月灯りと車のフロントライトに照らされた深い暗闇を見つめながら、横でハンドルを握る織へと呟いた。 言葉を受けた織も又、フロントガラスの先を静かに見据えながら、表情を変えずに、 「あぁ、アイツが絡むといつも面倒事だからな。俺もそう思う。」 なんて、理解しきれない答えを出してきた。 山頂近く、山道の終点、道幅が広くなったそこに車を止め、林までのほんの僅かな距離を歩いてくると、その先には不気味としか言い様のない静けさと漆黒の闇が広がっていた。 いいかえるならば、それは。異世界へのトビラ。 何処までも続いていそうなソレを目前に控え、ただ”待ち”続けた。 林の手前、ただ黙々と立ち、月明かりを背に受ける二人の耳に、突如風以外の音が届いた。 林の奥からの機械的な音。それは、紛れもない。 バイクのエンジン音だった。 その不釣合いすぎる”共演”に織は踵を返し、行くぞ、と、その重たい口を開けた。 冷え切った空気、吹きすさぶ風は侵入者を歓迎せず、妨げるかの如く。 追い返されるような風の中、徐々に近づくエンジン音。 気が付けばすぐ横にまで着けていた。 バイクに跨った青年は爽やか過ぎるほどの笑顔で。 「ぃょぉ、式者。まぁ、なんだ。一悶着ありそうなんだが。」 と、白い風雲児は心底楽しそうに告げてきた。 December 22 第2話~終章~「なんでほっしーいないのさっ!」 「マスターが居ないだって!?」 日も暮れ、月がその顔を覗かせる刻。若き青年、七星勇が自ら経営する喫茶店も店内では二人の少年と青年の驚愕の声が響き渡っていた。 「仕方ないにゃ。七星本家のお手伝いに回ってるんだから。ウチじゃ不満?」 二人に対し返答をする少女―――七星鈴の声は正反対にあっさりとしていて、その驚愕を門前払いしていた。 カウンター越しの対話。 二人と一人の言葉の応酬。 会話の支配権は、それこそ全権鈴にあった。 「あの、さ―――。何で僕がこんなことを――」 三人の途切れた会話の静寂を破ったのは、カウンターの先、鈴の横にて黙々と食器を拭き続けていた長髪の少年、庵が心底困惑した表情で言葉を紡いだ。 「当ったり前にゃ。ばつにゃ、罰。罪滅ぼしにゃぁよ」 その言葉を耳にした鈴は、はぁ、とため息をつきながらもすかさず怒り混じりの呆れ声でそれ以上の反論を封じた。 本来は客としてくるはずの人間が。 「ほらほら、ウチ、忙しいんだしわかったらさっさと動くにゃよ?働く働くっ!」 これである。 少年がもし言葉を返せたならば、 『全然わからないんだけどなぁ』 と答えたことだろう。無理な話であるが。 二人の間に何があったかは、誰も知らず、また、誰も語らない。 ただ理解できる事は、庵が鈴の支配下に置かれ、全ての権利を奪われてしまった立場にある、ということだけである。 もっともこれが最終的な結論であり、それだけ解れば十分な話であるが。 「そうそう、二人宛てに手紙を預かってるにゃよ?」 庵のことを気にもかけず、鈴はカウンターを越えた先の二人に話を持ち出した。 「ほっしーからっ!?」 「マスターからかっ!?」 声を揃えて期待をする二人に鈴はこくり、と頷き、とろとろと手紙の内容を読み上げ始めた。 「えーっと、こっちは。犬君、もとい祐紀君へ。大量、嫌がらせ並みの連続した注文と店内での麻雀は禁止だよ?今夜は居ないけど明日には帰ってくるから待っててね☆勿論一晩中喫茶で待ってようとか暇つぶしに店員さんに手を出そうとか考えるのは駄目だよっ byゆう とーのことにゃ」 「そ、それだけっ!!?」 その悲痛な叫びにも似た、いや、全くそれである疑問にもやはり間を空けずきっぱりと 「だけにゃ。にゅふふ、によによ」 なんて意地の悪いにやけ笑いまで浮かべ始めた。 「で、俺のほうには?」 と、横で肩を落とし青黒いオーラまで浮かべる祐紀をよそに期待を膨らませ続けていた少年への手紙を読み上げる。 「シュータへ 僕は、、、ぁー、いおりん。これなんて読めばいいにゃ?」 手紙の中の漢字を前に、厨房で作業中の庵に答えを求めた。 その言葉に遠慮や、気遣いなどは一切含まれていない。 「ぁぇ――?それは私情。シジョウだよ。それくらいは読めなきゃ駄目だよっ」 皿を拭きつつ出てきた庵は手短に事を済ませるとまた厨房に戻っていった。 「ふむふむ、しじょーにより、喫茶を留守にするからその間はお店の皆と――、いおりーん。コレ」 背後の厨房に顔だけを向け、再び庵を呼ぶ。 「ほぇ?それは協力・・・ってちょっと。」 冷や汗をかきつつ厨房へ戻る庵の静止の言葉を無視してにゅふふ、と笑うと続けて手紙へと視線を戻していった。 「協力してー、これはー、えーと。。。」 又もや厨房に立ち調理をする庵を見つめる。 「絶対、なんかおかしいよね。これは、なかよく・・・―――」 いい加減にしてよ、と半ば呆れ顔で鈴を直視しつつ、厨房へと戻っていった。 「にゃ。仲良くお店の番を頼みますっ♪だって」 「そうかそうか、頼りにされてるのか、俺」 肩を落としつつ一気飲み状態の青年と、 期待通りの言葉に腕に力を込める少年と、 店員でもないはずの人間を弄って楽しむ少女と、 何をされても返すことのできない少年と、 店長の居ない喫茶は 実に風変わりである。 December 21 潮風と夕日と斧と少女とこの海岸に停泊し始めて2日目。 街から異様な空気が流れ込んでくる。 「おかしい、というよりは、不気味、ね。」 長く、サラリと伸ばした髪を持つそれほど背の高くない少女は誰に言うでもなく、静かに言葉を紡いだ。 少女の背後、浅瀬には、巨大な髑髏印をやはり大きな、その帆に掲げた”船”が異常なほどの存在感を示していた。 泊められた船から飛び出てきた一人のがたいのいい若い男が少女に向かい慌てた様子で声をかけた。 「嬢、みしお嬢さん!本当に、行くんですか!?」 潮風に当たりながら、耳に届いたその言葉を聞き、嬢と呼ばれたみしおは 明らかに年上な若い男に対して礼儀を無視してただ淡々と、偉そうに答えた。 「当たり前よ。決めた事なんだから。お父様には宜しく言っておいて。先に出航しても構わないから。」 と、『いつも通り』の回答をして砂浜に突き刺さった、みしおの体格と全く合うはずの無い、大きさと重量を誇るであろう『大斧』を片手で少しだけ重そうな素振りを見せつつも、久しぶりだと慣れないわね。と呟きながら背に回し、潮風と地平線に浮かぶ夕日を背に受けて、ただ呆然と立っていた。 「船長に伝えろと言われましても、万が一みしお嬢さんの身に何かが―――」 未だ躊躇い、引きとめようとする青年に、みしおは言葉を遮って、 「大丈夫、心配しないで。万が一にも私は死んだりなんかしないわ。」 そう、振り向きざまに笑顔で答え、髪をその冷たい風に靡かせながら続けた。 「それに、この街にはとっても優秀、かどうかはわからないけど、最高な『コマ』が2人も居るんだから。」 その顔は、久しぶりの戦いのためか、その『コマ』と再会出来るためか、それともまた別の意味でか、とても愉しそうに笑顔を浮かべていた。 明らかに狂い、乱れた。平和が錯覚のこの街へ。 みしおは勇敢にも自ら進んで、足を一歩、確実に踏み入れていった。 赤と消しゴム何も変わることのない、昼前の繁華街。 赤色のパーカーと細いスラックスに身を包み、 小脇に赤茶色のハードカバーが掛けられた辞典らしき物を抱えた少女が 走っていた―――― それは”辿り着く”ための疾走。ではなく、何かから ”逃げるために” 走っていた。 人の行き交う道を。 何も変わらない日常の中を。変わるはずのない平穏を ただ、隠れるように。消え行くように。 繁華街を足早に抜け、その先の大通りへと出る。 そこもやはり、人口の密度が高く、雑踏に紛れ、身を隠すのに最適と思われた場所も、 そう、事が巧く運ぶはずもなかった。 向かいの通り、西のビルの屋上、各1人ずつカソックを着込んだ追手がつけている。 こうなってしまった以上、ココに長居はしていられない。 『彼ら』の視界から隠れるように人ごみに紛れようと動いたその刹那。 背後に影を落とした3人目の追跡者が行方を遮るように少女の正面へと回り込み、立ちはだかった。 その、流石に予測していなかった不測の事態に驚きを見せつつも少女はおもむろにその華奢な体に抱えた大きな書物を開き、ある一文に、”消しゴムを”かけ始めた。 その、瞬く暇も空けぬ次の”トキ”に、そこに居たはずの、確かに目を合わせていた少女の姿は、文字通り姿を”消していた”。 記憶とキオクまた、いつもと同じ朝が来た。 僕は、まだ。生きている。 昨日の出来事が夢に思えるくらい、清々しく、何もかも、忘れそうな――― 『―――私だけが知っている物語の歯車だから』 ふと、昨日の昼時、我が身に降りかかって来た謎が頭の中を横切り、 ベッドの上でまだ血液の巡りきっていない気だるい体の半身だけを起こして、両手を見つめる。 「今夜が、始まり―――。」 特に何も考えずに発した言葉。 だが、何とはなしに、それを、知っていたような、気が、する―――。 遠い、昔、から――――――― ―――これこそ、我が家の正しい在り方 僕ではない誰かが、僕の中で声をあげる――― ―――迅く、迅く。さぁ、早く 誰かが僕を蝕んでゆく――― ―――時よ来たれ。獲物よ来たれ 体の、内側から、侵食。されて、ゆ。く――― ―――一度狙いを定めれば、テキは黒い炎に焼かれて消える 誰だかわから、ない。け、ど――― ―――テキよ来たれ 何。故か、――― ―――我に消されるモノたちよ 不思、議と。でも、確か。に――― ―――我等が忌わしき血族を ―――何処か、懐かしい場所。で――― ―――滅ぼして見せよ 逢った事が有るような気が December 01 魔法使いの謳 まるで、機械仕掛けの――― 古びた時計のように 物語という名を持つ針は 静かに、しかし確実に 刻を、刻み始めた 狙いを定め、目標へと動き出す針は、 寸分の狂いなく 狙ったモノを逃さない 確実に、完全に、一撃で、 ソレは動きを止める。 ―――――命も ―――――刻も ――――――世界をも 物語を始めるのは私だ。 結末を迎えるのも私だ。 だが―――――― 物語を進めるのは 汝ら、戦士たちだぞ―――――? 聖全く、こんなものが、あるから―――――。 「私も行かなきゃならなくなるのね。」 そう。この剣を抜いて、 終わりに近付く。 一体これから、どれほどの人と出会い――― 「戦うの―――?」 戦わなきゃいけないの―――――? そう。数え切れぬ、 目の前の障害を 斬り倒す――――― そんな、わかりきったこと、 「今、更、よね―――――」 私がどんなコトに巻き込まれようと、 それは当然であり、それこそが、必然。 だから、 「私は、終わらせなきゃいけない。」 そのための、剣――――――― 聖剣士の名を冠する、彼女に与えられた、家宝を手に取り。 一ノ瀬 梓は終ることの無い夜闇の向こうに待つ 手に掴めるほどの僅かな光へと、歩き出していた。 白力は、ここにある―――――。 狭い階段を下りた先の部屋は、広く、豪華な金の飾りとシャンデリアで彩られていた。 床に置かれたのは4つの棺桶のような大きな箱。 白のコートを着た男はそのうちの東側に位置する棺桶状の箱の前に立ち、 「―――。今こそが、力を手にするときなのか――――」 箱を見つめながら男は呟く。 その姿はコートを着ていながらも、まるで白き鎧に身を包んだ騎士の様。 ―――私も、行くべきなのか 自問自答しつつ、男は静かに箱を開け、中身をその右手に掴み取った。 金と白の、この部屋と同じ柄の華美な鞘に収められた、 ――――――――剣を。 男は、静かにその剣を両手で握り、誰に言うでもなく語りかける。 「―――戦の系譜を、」 それだけを呟くと白いコートの男は部屋に背を向け、 「行きましょう、ジークリンデ。我が命と共に―――」 終わりへの始まりから全てを、見届けようでは――――― |
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